ヴィヴィアン・ウェストウッドの人生について

・生い立ち

ヴィヴィアンは1941年、イングランド中部で誕生。今でこそ「パンクの女王」と呼ばれる彼女ですが、幼い頃はいたって普通の女の子でした。
昔から個性的なファッションやパンクに興味があったわけではありません。
そんななか、とあるファッションが流行します。それは「ニュールック」です。クリスチャン・ディオールが誕生させたこのスタイルに、彼女は大きな感銘を受けました。学校の制服を、ニュールック風に改造するほどに影響を与えたのです。

16歳の時にロンドンに移住したヴィヴィアンは、学校で銀細工とファッションについて学びます。
しかし、1学期と経たずに退学。
「労働者階級の自分がどうやってアートで生活できるのかがわからない」という理由からでした。
退学した後は、工場で働きながら先生を目指します。そして、彼女は1人目の男性と結婚。息子を授かるも離婚してしまいます。
この離婚が大きなターニングポイントになったのです。
離婚の2年後、ある男性と出会います。彼の名はマルコム・マクラーレン。
資本主義に対する怒りを論理的に主張し都市の再生を目指すという理念を持つ、無政府主義団体の活動家でした。
この出会いによって、「ヴィヴィアン・ウェストウッド」は生まれたのです。

・ヴィヴィアン・ウェストウッドの誕生

1971年、ヴィヴィアンとマルコムはお店を立ち上げます。
「レット・イット・ロック」という名前のとおり、取り扱うファッションは50年代のロックミュージックを彷彿とさせるものばかり。
当時のファッションはヒッピースタイルが主流。時代の流れに逆らうように、ブランドはスタートを切りました。

1974年には、店名を「SEX」に変更。引き裂いたシャツ、安全ピンやチェーンのアクセサリーなど、今までにないアヴァンギャルドなファッションを展開しました。前衛的なスタイルは、現代のパンクファッションの先取りです。
ヴィヴィアンのデザインは、流行の先端を走る若者を夢中にさせました。
翌年、パンクバンド「セックス・ピストルズ」のプロデュースを開始。セカンドアルバムが大ヒットとなり、イギリス中でパンクブームが巻き起こりました。
グループが着用していたアイテムが爆発的な人気となり、一気に流行したのです。

1976年、店名を再び変更。アイテムの多くをロック、パンクテイストにしました。また、前衛的だったパンクスタイルを誰でも着こなせるファッションへと昇華させました。
スコットランドの伝統「チェック」とパンクを合体させたのです。パンク＝チェックというスタイルを確立。
彼女は、「印象的な服を着れば着るほど、人は良い人生を送れる」という言葉を残しています。

1993年に、レディース部門を分割。
ハイランクは「ヴィヴィアン・ウェストウッド・ゴールドレーベル」、中間は「ヴィヴィアン・ウェストウッド・レッドレーベル」という2つに分けました。
またデザインも、徐々に高級感を感じさせるものへと変化しました。ブランドを今まで知らなかった人や敬遠していた人たちからも注目が集まりました。
彼女は2006年に、大英帝国勲章のひとつである「デイム」を受賞したのです。ヴィヴィアンが英国王室から認められた瞬間でした。

・ブランドの魅力

● アイテムが多い

多くのブランドは多種類のアイテムを販売していません。しかし、ヴィヴィアン・ウェストウッドには数多くのアイテムが存在します。
財布やベルトはもちろん、ライターや手袋まであるのです。全身コーデもできるほど、豊富なアイテムが魅力です。
「こんなものがあったらいいな」という顧客のニーズをしっかりキャッチします。

● 顧客のニーズに応える

最近ではエレガントなイメージがあるヴィヴィアン・ウェストウッドですが、ニーズがあるとパンクアイテムもコレクションに出品します。
かつてのブランドを象徴するような強烈なアイテムも、もちろん健在です。
エレガントとパンク、どちらのファンのニーズにも応えているのです。

● 特徴的なロゴマーク

「宝珠」と「惑星」がモチーフのロゴマーク。これはイギリス王室のエンブレムと地球が由来です。伝統と歴史を重要視しつつも、新しい挑戦を加えるという意味が込められています。
このロゴマークにもファンがいて、今ではブランドの顔となっています。

・活動家としてのヴィヴィアン

彼女はデザイナー以外にも、活動家としての顔を持っています。「地球を良い場所に変える」と語っているとおり、環境保護活動に積極的です。
2012年には熱帯雨林や南極を訪問。
水圧破砕法と呼ばれるガス開発に異議を唱えるために、軍で使用される戦車で首相官邸に乗り込みました。
「環境活動は本質的にパンクだ。なぜなら体制を壊すから」と彼女は語っています。

・ヴィヴィアンの価値観

ヴィヴィアンは、「最高のものを売る。顧客のハートを掴みたい」という価値観を持っています。
彼女は自身のブランドのすべてを把握しているのです。わからないことがあれば担当者を呼びつけて聞き出し、ブランドの価値観に合わないものは販売をやめさせます。
そのコンセプトが顧客に理解されたのか、ヴィヴィアン・ウェストウッドは、世界的なブランドに成長しました。
デザインだけでなく、ビジネスの面でも優秀な力を発揮しています。

・まとめ

今でこそ「パンクの女王」として知られるヴィヴィアン。彼女は、元々パンクに興味はありませんでした。
ですが、1人の男性との出会いがきっかけで社会活動やパンクファッションと出会ったのです。
かつては前衛的なスタイルで若者を熱中させましたが、今では高級なラインも存在します。そのクオリティはイギリス王室が認めるほど。
80歳を迎えてもなお、生涯現役を貫く彼女がどんな活躍をしてくれるのか楽しみです。

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2021年08月19日