金本位制とは
金本位制とは、金を通貨価値の基準とする制度であり、中央銀行が発行した紙幣と同額の金を常時保管し金と紙幣との兌換を保証するというものとなります。
1816年に英国が1ポンドの金貨鋳造をはじめたのが金本位制のはじまりだと言われております。
日本では、1897年に明治政府が金本位制を採用しました。
銀や金の歴史
18世紀まで、稀少性や保存性に優れていることから、銀や金がお金の役割をしておりました。
しかし、大銀山の発見により銀の産出量が増えたため、銀の価値は大暴落します。
その結果、金が唯一ふさわしい通貨基準となりました。
19世紀、産業革命をいち早く達成した英国は、輸出競争力の圧倒的な強さで世界をリードしていました。
英国は、広大な植民地から集めた豊富な金を裏付けにして、世界に先駆けて金本位制を採用しました。
1816年に1ポンドの金貨鋳造をはじめ、1844年には兌換紙幣を発行するようになりました。
兌換紙幣とは
兌換紙幣とは、イングランド銀行が金と交換を行うポンド表示の紙幣です。
中央銀行が発行した紙幣と同額の金を常時保管し、金と紙幣との兌換を保証していました。
金価格は、1オンス(約31.1035グラム)につき、3ポンド17シリング10ペンス半という価格が保持されました。
英国のポンドを中心とする金本位制は、第一次世界大戦前の1914年まで(約1世紀間)続きました。
このような英国の強い軍事力や経済力による平和な時代を、パックス・ブリタニカと呼んでおります。
第一次世界大戦後の1925年、英国は金本位制に復帰しますが、1931年に再び金本位制を離脱しました。
英国の経済力は、植民地の独立や離反により、かなり低下していたもようです。
金を獲得しようとする保護貿易主義
1929年にニューヨークのウォール街で株式が大暴落したのをきっかけに、世界規模の経済不況が起こりました。これを大恐慌と呼んでいます。
大恐慌が原因となり、主要各国は金本位制を離脱し始め、金の保有量とは関係なく通貨を発行する『管理通貨制度』へと移行。しかし、アメリカだけは巨大な経済力をバックに金本位制を維持していました。
主要各国は、輸出を伸ばそうとして為替レートの切下げ競争(為替ダンピング)や輸入制限に走ったために、世界の貿易は縮小していきました。
最終的にはブロック経済の対立を引き金に、第二次世界大戦(1939~1945)に突入しました。
金を獲得しようとする保護貿易主義が横行し、国益が正面衝突した変動相場制時代です。
こういったことから金は近年でも価値が衰えずいるわけであります。
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