一円銀貨(一圓銀貨)の価値とは?新・旧の違いや、本物と偽物の見分け方を解説!
「一円銀貨が家にあって売りたいけど、今でも価値はあるのかな?」
「一円銀貨をもらったけど、本物か偽物か知りたい」
祖父母から譲り受けたり、家から出てきたりした一円銀貨について知りたい方もいるのではないでしょうか。
一円銀貨とは、明治から大正にかけて発行された銀貨のひとつです。
貨幣として国内で流通しただけでなく、貿易用としても使用されました。
本コラムでは、一円銀貨の価値や本物・偽物の見分け方などについて紹介します。
一円銀貨に興味がある方や、持っている一円銀貨を売りたい方は、ぜひ参考にしてください。
一円銀貨(一圓銀貨)とは?
1871(明治4)年に制定された新貨条例で「円(圓)」という新しい貨幣単位が導入されたのを機に発行されたのが、一円銀貨です。
一円銀貨は日本の貨幣でありながらも対外貿易用の銀貨として機能し、主に中国や台湾などのアジア諸国で使われました。
発行から26年後の1897年に通用停止となりましたが、台湾や朝鮮では流通が盛んだったためすぐに停止できず、製造自体は1914年まで行われたとされています。
現在の一円銀貨は、古銭コレクターに人気が高い古銭です。
価格は状態や年号などによって数千円から数十万円にもなり、高価買取が期待できます。
しかし、流通していない貨幣は偽造しても罪に問われないため、偽物やレプリカが多く出回っています。
買取時に損をしないためには、偽物と本物の見分け方をきちんと把握しておくことが大切です。
一円銀貨(一圓銀貨)の種類とデザイン
一円銀貨は表面に竜、縁に額面や発行年数などが刻まれているのが特徴です。
竜のイメージが強いことから、「龍一円銀貨」と呼ばれることもあります。
一円銀貨には以下のように種類があり、デザインや価値も異なります。
・旧一円銀貨(旧一圓銀貨)
・新一円銀貨(新一圓銀貨)
・貿易銀
・丸銀
・円形銀塊
ひとつずつ解説します。
旧一円銀貨(旧一圓銀貨)
旧一円銀貨は、「宝珠(ほうじゅ)」と呼ばれる玉を持った竜の姿が片方の面に大きく描かれています。
竜の周囲に刻まれているのは「大日本・明治三年・一圓」という文字です。
反対の面には、中央に日章(旭日)があしらわれています。
上部にあるのが、天皇と皇室の紋章である菊紋「十六弁八重表菊紋」、下部にあるのが菊と桐の枝です。
両脇には、格式の高い桐紋「五七桐花紋」も刻まれています。
種類としては圓の部分の字体が少しずつ違う「普通圓」「正貝圓」「欠貝圓」、裏面の旭日の中央部分に違いがある「有輪」「無輪」があります。
「普通圓」は、刻まれている「圓」の11画目に当たる「貝」部分の斜め払いが短く切れています。
「正貝圓」の「圓」はどこも欠けていません。
「欠貝圓」は「圓」の9画目の「貝」の横線(内側下)が欠けています。
3種類の中で最も発行枚数が少なくレア物であるため、価値が高いです。
有輪と無輪の違いは、日章(旭日)の外周の太さです。
有輪は外周が太めでくっきりと見えますが、無輪は細めですっきり見えます。
新一円銀貨(新一圓銀貨)
新一円銀貨にも、片方の面には竜が描かれています。
そして、竜を囲むように刻まれているのが「大日本・明治〇〇年・900・ONE YEN・416」という文字です。
900は銀の含有量を表しており「銀が90%使われている」という意味です。
416は「グレイン」という単位がつき、量目を意味しています。
416グレインは、約26.96グラムです。
反対の面には「一圓」という文字が中央に大きくあります。
上部には「十六弁八重表菊紋」が刻まれており、菊と桐の枝が周りを囲むように描かれているのが特徴です。
新一円銀貨には、「新一円大型銀貨」と「新一円小型銀貨」の2種類があります。
新一円大型銀貨は1874年から貿易専用銀貨として発行されましたが、1878年からは国内で使用できるようになりました。
一方、新一円小型銀貨は1887年から発行され、貿易と国内で使われていました。
デザインは、新一円大型銀貨も新一円小型銀貨もあまり変わりません。
買取相場としては、新一円小型銀貨は数千円であることが多いですが、新一円大型銀貨は1万円以上と高価買取が期待できます。これは製造期間が30年弱に渡る前者に対し、後者は比較的製造期間が短く、絶対数が少ないことが理由であると考えられます。
貿易銀
貿易銀は、1875年に外国との貿易で使うために作られた銀貨です。
表面は新一円銀貨と同じようなデザインですが、刻まれている文字が違います。貿易銀に刻まれている文字は「420 GRAINS.TRADE DOLLAR.900 FINE」です。文字の意味は「420 GRAINS」が重さ、「TRADE DOLLAR」が銀の純度になります。
裏面には「貿易銀」という文字が刻まれています。
当時、東洋市場ではメキシコが圧倒的な勢力を誇っていました。メキシコの銀貨は日本の銀貨よりも銀の品位が高かったため、これまでの一円銀貨は流通しなかったのです。そこで日本は、メキシコの8リアル銀貨にならって、銀の含有量を増やした貿易銀を国際的な通貨として作ったといわれています。
しかし、銀の品位は上がったもののなかなか国際通貨として普及せず、約3年後に製造が終わりました。短い製造期間だったことから発行枚数が少ないため、数十万円で売買されることも珍しくありません。
丸銀
一円銀貨の裏に"銀"の字を丸で囲って刻んでいるのが、丸銀と呼ばれる物です。極印が左に打たれているのが「左丸銀」、右に打たれているのが「右丸銀」です。
1897年、貨幣法が制定されたことで日本国内では一円銀貨が通用停止になりました。
しかし、台湾や朝鮮など国外ではすぐ通用停止にできませんでした。多くの一円銀貨が流通していたため、すぐには止められなかったのです。そこで政府は、市場の混乱を防ごうと海外でしか使えない極印の丸銀を作りました。
ところが、実際に発行してみると極印の有無だけでは市場の混乱を防げず、翌年には丸銀の発行が中止になりました。丸銀は発行からわずか1年ほどで製造が終わったため現存数が少なく、希少価値も高いです。極印を打っている位置などによって価値は変わりますが、高価買取も期待できます。
円形銀塊
1897年以降に作られた一円銀貨は、「台湾銀行兌換引換用圓銀(たいわんぎんこうだかんひきかえようえんぎん)」や「円形銀塊」と呼ばれています。
1897年以降、一円銀貨は国内で使えなくなったため、一円銀貨ではなく「円形銀塊」と表されたのです。
ただ、台湾では広く使われていました。
1897年~1914年までは、台湾銀行用として「台湾銀行兌換引換用圓銀」が作られていたといわれています。
円形銀塊は他の一円銀貨と違って、竜の絵がある面が裏です。
今ではあまり残っていないため、価値が高くなっています。売ると数万円から数十万円することも少なくありません。
一円銀貨(一圓銀貨)の本物と偽物の見分け方
本物の一円銀貨だと信じて保管し続けた結果、偽物だったという事態は何とか避けたいものです。
また、これから買おうと考えている際も、買い取ったときに偽物であることに気付かないと損をしてしまうかもしれません。
一円銀貨の真贋を見極めるには、以下2つがポイントです。
・重さを測る
・デザイン
ひとつずつくわしく解説します。
重さを測る
一円銀貨の重さは約26.96gです。
偽物はこれより軽い物が多いと言われています。偽物は、銅とニッケルの合金を素材にして作られることが多いです。
銅とニッケルの合金を使って直径や厚みを本物に寄せて作ると、重さが足りなくなります。
かといって重さを本物に寄せて作ると、今度は直径や厚みといった面で本物と大きく差が出ます。
重さやサイズは、本物か偽物かを見極める大事な指標のひとつなのです。
デザイン
一円銀貨の本物と偽物とでは、デザインも少し異なります。
描かれている葉脈の彫りが深く、細やかなデザインになっていれば本物です。
彫りが浅くて少し葉脈がぼやけている物は偽物の可能性があります。
一円銀貨の表面に刻まれている竜も、ウロコの凹凸がくっきり彫られているのが本物、凹凸が浅くて不鮮明な物が偽物である可能性が高いです。
さらに、周りを囲んでいるギザギザにも注目してください。等間隔で一定の大きさであれば本物です。
偽物の場合は、ギザギザの大きさがバラバラだったり、等間隔でなかったりします。
高価な一円銀貨(一圓銀貨)の特徴とは?
一円銀貨は買取市場において人気の高い古銭ですが、特徴によっては高いプレミア価値がつくこともあります。
具体的には、どのような特徴があれば高い価値がつく可能性があるのでしょうか。
発行年度
一円銀貨は、発行年度によって高価か安価かが決まってきます。
発行年度とは、一円銀貨が製造された年のことです。発行枚数が少ない年度の一円銀貨ほど、希少価値が高くなります。
例えば、1870年に発行された旧一円銀貨は発行枚数が約370万枚と少ないため、高く買い取ってもらえる可能性があります。
他にも、1874年~1875年・1878年~1879年・1886年に製造された一円銀貨も発行枚数が少ないため、高く買い取ってもらえるかもしれません。
また、一円銀貨には「特年」と呼ばれる、価値の高い種類があります。特年とは、発行枚数や流通量が少ない年のことです。
発行枚数や流通量が少ないことは、それだけ希少価値が高いことを意味します。特年であれば高額査定がつくことも珍しくありません。
刻印の状態
一円銀貨の刻印には、深彫と浅彫とがあります。文字通り、彫りが深い銀貨と浅い銀貨です。
発行年によっては、彫りが深い・浅い銀貨が少ない年度もあります。
例えば、1875年に作られた一円銀貨は浅彫が少なく、希少価値が高いです。
高く買い取ってもらえる可能性があります。
書体
一円銀貨には、「普通圓」「正貝圓」「欠貝圓」と3種類ありますが、中でも価値が高いのは「圓」の9画目が欠けている「欠貝圓」です。
「欠貝圓」は旧一円銀貨全体の2%~3%程度しかないといわれており、未使用であれば40万円ほどの値段がつきます。
一円銀貨(一圓銀貨)をなるべく高価買取してもらうためには?
一円銀貨を高く売るうえで重要なポイントは、以下のとおりです。
・保存状態
・鑑定書の有無
・買取業者選び
一円銀貨を少しでも高く買い取ってもらうためには、保存状態が重要です。
発行された頃と変わらないような未使用品や美品は、高い買取価格が期待できます。
逆に、錆が発生していたり傷だらけだったりすると価値が低くなり、買取価格も大幅に下がります。コインケースなどに入れるなどして、傷をつけないようにしてください。
なお、一円銀貨が汚れていたとしても洗ったり磨いたりしてはいけません。傷を増やしてしまい、価値を下げてしまいます。
また、鑑定書の有無も買取時の金額を大きく左右します。
古銭の場合は、日本貨幣商協同組合が発行する鑑定書が一番信頼できる鑑定書です。
もし鑑定書がついている一円銀貨であれば、高く買い取ってくれる可能性があります。
さらに大事なのは、買取に出す業者選びです。
一円銀貨は、彫りの深さや浅さ・刻印の特徴などで価値が大きく変わるため、買取業者の知識量の多さや経験値は非常に重要になります。
知識が浅い・経験不足な業者だと、たとえ良品でも高値をつけてもらえず、損につながりかねません。
一円銀貨を査定に出す際は、買取業者選びも慎重に行ってください。
まとめ
一円銀貨は、明治から大正にかけて発行された銀貨です。
古銭コレクターに人気が高く、買取に出せば数千円から数十万円にもなります。
鑑定書があったり状態が良かったりすれば、もっと査定額が上がるかもしれません。
ただ、一円銀貨は偽物やレプリカが多く出回っています。
買取時に損をしないためにも、偽物と本物の見分け方を極めておくことは重要です。
また、高額査定してもらうためには、保管の仕方や鑑定書の有無などにも気を付ける必要があります。
良い鑑定結果につながるよう必要な物を揃え、保存状態にも気を配り、本物か偽物か見極めたうえで知識豊富な買取業者に相談してみてください。
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