開元通宝の種類と価値は?和同開珎のモデルになった中国古銭
開元通宝は中国の通貨史における重要な古銭で、種類と価値は多岐にわたります。
日本の和同開珎のお手本にもなっており、コレクターにとっては注目の古銭です。
そこで本記事では、開元通宝の歴史や時代背景に焦点を当て、さらに価値が高い開元通宝の特徴にも迫っていきます。
開元通宝の価値を知りたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。
開元通宝の歴史や時代背景
開元通宝は中国では唐代の武徳4年(621年)、日本では飛鳥時代に初めて渡来銭として流通したと言われています。
618年から907年まで続いた唐という王朝は、中国の歴史の中で特に華やかな時代でした。たとえば、長安という都市が国際的な中心地として栄え、シルクロード貿易が盛んだったことでも有名です。また、庶民たちも豊かになり、社会で力を持つようになった時代です。
それからも開元通宝は、唐が滅亡した後に到来した五代十国時代に至るまで、経済の中心的役割を果たしました。結果として、約300年にわたって広く流通した貨幣になったのです。
また、開元通宝は日本で最初の流通貨幣でもある和同開珎のモデルとなったという説もあります。明確な証拠はまだ確立されていないため、この点については貨幣研究や歴史学の専門家の間でも意見が分かれていることに留意しましょう。
開元通宝の価値
開元通宝は日本国内でも広く使われていたため、書体のバリエーションは16分類273種もあります。
したがって、一般的に希少価値は高くなく、数百円で取引されるものも多いです。
しかしながら、状態や字体の珍しさによって価値は大きく変わります。
さらに、開元通宝は和同開珎のモデルになったこともあり、日本における歴史的な価値は高く、人気のある貨幣です。
したがって、貨幣や歴史に興味を持つ方にとって、開元通宝はそのバリエーションや歴史的背景から興味深い対象となるかもしれません。また、単に一般的な古い貨幣として見るだけでなく、文化的な意義や価値を理解すると面白味が増すでしょう。
開元通宝の種類
前述のとおり開元通宝は長く流通していた背景より、種類が非常に豊富です。
16分類273種にも及ぶため、ここでは大まかに3つに分けて紹介します。
開元
「開元」は最初期の開元通宝です。
表面には唐の書家である「欧陽詢(おうようじゅん)」がデザインしたとされる「開元通宝」の文字が刻まれています。そして、裏面は紋様がないか、または点や線のようなマークがあることもあり、このような模様によっても種類が区別されます。
他にも以下のような特徴があるので、開元通宝が手元にある方はぜひ見比べてみてください。種類を特定する重要なポイントが隠されているかもしれません。
裏面の模様
裏面には無紋のもの以外にも点や線のようなマーク、穴の上に特定の形状や記号が刻まれたものなど、さまざまな模様があります。模様や図案の違いも、開元通宝のバリエーションを特定する重要なポイントです。
穴の形状
開元通宝には穴が開けられており、穴の形状や位置にもバリエーションがあります。
たとえば、穴の上部や周囲の模様、形状などが異なることがあり、これも銭文の種類を特定する手がかりとなります。
会昌開元
会昌開元(かいしょうかいげん)は845年に鋳造された開元通宝です。
鋳造当時、裏面に年号を表す「昌」が記されていたことから「会昌開元」と呼ばれていました。しかし、後の裏面には州名が記されるようになりました。
具体的に、「京」(京兆府=長安)、「益」(益州=成都府)、「洛」(河南府=洛陽)など、後の会昌開元は鋳造された地域が刻まれています。
また、会昌開元は開元通宝の中でも比較的鋳造された数が多く、市場で見かけることも比較的多いです。しかし、地域を示す文字が刻まれているものは希少価値が高くなる傾向があります。例えば、地域を示す刻印文字はその鋳造地の特定に寄与します。コレクターや収集家にとっては、単なる「中国の古銭」としての価値だけではなく、鋳造地域の歴史や文化といった付加価値も存在する貨幣となっています。
その他の開元通宝
開元通宝には他にもさまざまな種類があります。
具体的には、唐以外で鋳造されたものや偽物として造られた「私鋳銭」、さらには近隣国や地域で鋳造されたものなどが多数存在します。
まず「私鋳銭」ですが、当時の市場で広く使用されていた偽造品で、歴史的な文脈を知る上で興味深いものです。ただし、偽造品であるため、価値は本物の銭貨ほど高くはないことが一般的です。
他にも南唐・呉越・閩(びん)・楚・南漢などの唐以外の地域や、現在のタジキスタンやウズベキスタンにあったソグディアナなど近隣国で鋳造されたものもあげられます。
しかし、偽造品の可能性もあるため、プロによる鑑定が必要です。
特に価値が高い開元通宝の特徴
開元通宝は特徴によって希少性が決まり、価値が上がります。
特に、珍しい字体や特別なデザインは収集家や買い手にとって魅力的なものになりやすいです。最後に開元通宝の価値を左右する特徴やポイントについてくわしく紹介します。
銀銭
近年、開元通宝の銀銭が複数発見され、市場での取引が増えています。
通常の開元通宝は数百円から数千円で取引されていますが、銀銭の開元通宝は非常に少なく、その希少性から5万円前後の高額で取引されることが多いです。
ネットオークションのような取引市場でも銀銭の開元通宝は高値が付きやすく、貨幣コレクターや投資家から注目されていることがわかります。
刻印文字
開元通宝に刻印された文字も重要なポイントです。
例えば、遒頸(しゅうけい)(621年~907年)は開元通宝の中でも非常に珍しい字体で、文字が力強く鮮明に刻まれています。そして、遒頸(しゅうけい)は流通した枚数が非常に少なく、希少性が高いです。当時の鋳造技術では文字を明確に刻印することが難しかったであろうことが、遒頸が少ない理由として考えられます。そのため、遒頸が刻まれた開元通宝は市場で滅多に見かけられず、高額な買取が見込まれる希少な種類と言えます。
エラー銭
実は、エラーのある貨幣も高値で取引される傾向にあります。これは古銭だけでなく、現代の硬貨においても同様です。
開元通宝のエラーとは次のようなものがあげられます。
・文字が二重に刻まれている
・裏面にひとつの図柄が予定されていたのにふたつ存在する
・穴がズレている
エラーを持つ開元通宝は市場にほとんど出回らないため、それが収集の対象となり、コレクターや古銭愛好家の間で高い価値が付けられることがあります。
とはいえ、オークションや古銭市場でもほとんど出会えません。
開元通宝を高価買取してもらうためには
開元通宝の高価な売却には、まず、専門家の鑑定が欠かせません。貨幣の状態や歴史的価値を正確に把握することは高値売却の土台です。
その際には、信頼性の高い業者を選ぶようにしてください。信頼性の低い業者との取引はリスクを伴います。例えば、買取価格を公表していない、他店との相見積りをさせないといった買取業者は注意が必要です。
自身でも古銭に刻まれた文字の意味や歴史的背景を理解した上で、買取業者に査定依頼することをおすすめします。また、保存状態が優れていると価値が上がるので丁寧に保管することも重要です。
傷や錆、摩耗があるとせっかくの古銭も価値が低下します。なぜなら、損耗は古銭の持つ美観や歴史的な価値を損ない、需要を下げるからです。
ぜひ、開元通宝の価値を正確に把握し、高価買取を実現させてください。
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