ワインの正しい保管方法とは?種類別の保管方法もご紹介
ワインに興味があり、実際に買ってみようと思っている人もいるのではないでしょうか。しかし、どのようにして保管してよいのか分からずに、困っているかもしれません。
そこで今回は、ワインの種類によって違う保管方法や保管するときの注意点について、詳しく解説していきます。また、ワインの品質が劣化する理由や保管環境による味わいの変化なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
振動も要注意!? ワインの保管に影響するおもな要素
ワインはとてもデリケートな飲み物です。そのため、注意して保管しないと品質を低下させる可能性があります。
ここでは、保管に影響を与える主要な要素や、ワインの種類による保管方法の違いなどについて解説していきます。
保管に影響を与える主要な要素とは
ワインの保管に影響を与える要素は、「温度」「光」「湿度」「振動」の4つです。その中でも、温度はもっとも重要な要素といわれています。
ワインの種類によって理想の温度は異なりますが、通常は7~18℃の範囲が推奨です。ワインは急激な温度変化に敏感なため、温度が安定した場所が望まれます。
また、ワインは強い光によって劣化する傾向があり、とくにUV光はタンニンを分解し、風味を損なう原因となるので要注意です。そのため、暗い場所で保管する必要があります。
湿度も、温度に次いで重要な要素です。
とくに、コルク栓に注意しましょう。というのも、湿度が低いとコルクが乾燥し、ワインに空気が入ってしまう可能性があるからです。
一方、湿度が高すぎるとカビが生じることが考えられるため、理想的な湿度は60~70%とされています。
ワインを長期的に保管する場合、振動も品質に影響を与えます。振動によって化学反応が促進したり、澱(おり)が混ざったりしてしまうのです。
保管には振動の少ないところを選びましょう。
種類による保管方法の違いを紹介
ワインには、「赤ワイン」「白ワイン」「ロゼ」「スパークリングワイン」などの種類があり、それぞれによって最適な保管方法が若干異なります。
赤ワインに理想的な保管温度は、12~18℃です。直射日光を避け、ボトルを横にして保管しましょう。
ボトルを横にするのは、コルクの乾燥を防ぐためです。これにより、赤ワインの品質を長期間保つことができます。
白ワインとロゼは、赤ワインよりもやや低い8~12℃が理想とされています。赤ワインと同じように、直射日光を避けてボトルを横にしておきます。
スパークリングワインは、7~10℃が理想です。ほかの種類と同様に、直射日光を避けてボトルを横にして保管しましょう。
ワインの最適な保管場所とは
ワインを保管する場合、通常「ワインセラー」「ワイン冷蔵庫」「家庭用冷蔵庫」「家庭内の冷暗所」が利用されます。
ワインセラーは最も理想的な保管場所です。ワインセラーと家庭用冷蔵庫での保管については、次章で詳しく紹介します。
ワイン冷蔵庫とは、家庭用冷蔵庫とは異なり、ワインの保管専用に温度と湿度の調整が可能になっている冷蔵庫のことです。また、家庭の冷暗所も保管には適しています。たとえば、クローゼットや床下収納の中です。もしも地下室があるのなら、そこでもよいでしょう。
ただし、冷暗所は温度や湿度の変化に問題がある場合が多いため、長期間の保管は避けるべきです。
家庭でのワインの保管方法や注意点
家庭でワインを保管する場合、ワインセラーがあるなら理想といえますが、誰でも用意できるものではないでしょう。そのため、ここでは家庭用冷蔵庫を利用した保管方法も紹介していきます。
ワインセラーの利用方法とそのメリットとは
家庭でワインを保管する場合、ワインセラーはもっとも理想的な場所といえます。なぜなら、ワインセラーなら温度、湿度、光、振動のすべてを適切にコントロールできるからです。これがワインセラーを利用するもっとも大きなメリットでしょう。
また、大量に保管する場合に適しているのもメリットといえます。ワインセラーに保管する場合は、温度を7~18℃、湿度は60~70%に保つようにしましょう。
ワインセラー内は暗く保ち、振動も可能な限り避けるようにします。
家庭用冷蔵庫での保管のコツと注意点
家庭用冷蔵庫でワインを保管するコツには、「ボトルを横置きにすること」「冷蔵庫内の適切な場所を選ぶこと」の2つがあります。
ボトルを横置きにするのは、コルクを乾燥させないために必要なことです。
冷蔵庫内は、内部の温度が一定ではありません。底部のほうが上部よりも温度が安定しているため、底部での保管が推奨されます。
家庭用冷蔵庫での保管で注意するのは、保管期間を短くすることです。
家庭用冷蔵庫は、一般的にワインの保管の適温よりも低く設定されています。そのため、長期に保管すると、風味やテクスチャーが変わる可能性があるのです。
また、冷蔵庫に使われているコンプレッサーの振動が、ワインに悪影響を与える可能性があります。それに、家庭用冷蔵庫はドアを頻繁に開け閉めすることが多いため、冷蔵庫内の温度が一定に保たれにくいでしょう。
以上の理由から、家庭用冷蔵庫での保管はなるべく短くしたほうがよいのです。
ワインに理想的な保管温度がある理由や温度変化の影響
赤ワインや白ワイン、そしてロゼやスパークリングワインの理想的な保管温度については前述しました。
ここでは、その温度がなぜ適切といえるのか、その理由を詳しく解説します。>また、温度変化がワインに与える影響も紹介していきます。
理想的な保管温度がある理由と与える影響
ワインに理想的な保管温度があるのは、「品質」と「熟成」に大きく影響するためです。ワインは非常にデリケートなため、温度の変化に影響を受けやすい傾向があります。
温度が高すぎると酸化が加速し、品質が損なわれがちです。逆に、温度が低すぎると熟成が遅くなり、極端に低い場合は凍ってしまう可能性もあります。
及ぼす影響を最小にして品質を保つには、理想的な温度の範囲内で保管することが必要です。
熟成は、ワインの風味に密接に関係してきます。保管温度が高すぎると、熟成が早すぎて風味がすぐにピークに達してしまい、衰えるのも早いのです。逆に温度が低すぎると、熟成が遅すぎて十分な風味が得られません。
そのため、理想的な温度で保管することが大切なのです。>ただし、赤ワインや白ワイン、ロゼなど、種類によって理想的な保管温度の範囲は若干変化するので注意しましょう。
保管期間を左右する条件とは
ワインの保管期間を左右するのは、おもに「種類と品質」「製造方法」「保管条件」です。
すべてのワインが長期間の保管による熟成を必要としているわけではありません。一般的に、大量生産された安価なワインは、早めに飲むことが推奨されています。
一方、高品質な赤ワインや、シャルドネ、リースリングなど特定の白ワインは、数年から数十年保管して熟成させることも可能です。
特定の製造方法を用いたワインも、長期間の保管による熟成に向いています。たとえば、シャンパンや高品質な甘口ワインは、長期間の保管による熟成でより風味が増すといわれています。
なお、温度・湿度・光の量・振動などの保管条件が適切な場合は、長期間の保管が可能です。逆に保管条件が悪いと早く劣化してしまいます。
ワインの品質が劣化する原因5選
ワインが劣化する原因には、おもに「温度」「湿度」「光」「振動」「保管期間」の5つがあります。
温度
ワインは、12~18℃の範囲内で適切に保管されることが重要です。温度が高すぎると酸化が過剰に進行し、低すぎると熟成しなかったり凍ったりして品質が劣化します。
また、急激な温度変化はワインにストレスを与えるため、品質を劣化させる原因です。
湿度
ワインに使われているコルクは、湿度に非常に敏感です。
湿度が低すぎると、コルクが乾燥して空気がボトル内に侵入する隙間ができる可能性があります。>そのため、ワインの酸化が進行して品質が劣化します。
逆に湿度が高すぎるとカビが発生したり腐敗したりする恐れがあります。
光
ワインは光に敏感であり、とくに紫外線(UV)は品質を劣化させる大きな原因とされています。紫外線により品質が劣化すると、酸化して変色し、風味が失われてまずくなるのです。
そのため、暗い場所での保管が推奨されます。
振動
ワインは静かで安定した場所を好む傾向が強いとされています。定期的、または持続的な振動は、熟成過程を乱してしまう可能性があるのです。その結果、品質は劣化していきます。
保管期間
高品質なワインは、長期保管に適しています。
しかし、大量生産された安価なワインは長期保管には向いていません。安価なワインを長期保管すると、時間とともに風味が落ちて品質が劣化していきます。
以上から、ワインの品質を劣化させずに風味を楽しむには、「温度」「湿度」「光」「振動」「保管期間」の5つがとても大切だとわかるでしょう。
開封前と開封後の保管期間の違いとは
ワインは、開封する前と後で保管期間が違ってきます。ここでは、開封前と後それぞれの保管期間の違いや保管方法、そして、保管する際によくありがちな誤解について紹介していきます。
開封前と開封後の保管期間の違いとは
開封前は、一般的な白ワインやロゼなら、製造後1~2年以内に飲むのが最良です。
ボディ感のある白ワインや品質の高い赤ワインなら、5年以上保管して熟成させることができます。また、高品質なヴィンテージワインやポートワイン、甘口ワインなら、10年以上の保管が可能でしょう。
しかし、ワインは一旦開封すると酸化が始まり、風味が変化していきます。したがって、開封後はなるべく早く飲むことがおすすめです。
たとえば、白ワインやロゼは冷蔵庫で保管し、開封後1~3日以内に飲むのが一般的です。赤ワインの場合は、開封後2~3日で飲むようにしましょう。スパークリングワインの場合は開封後24時間以内に飲むことが推奨されています。
開封後に保管するポイントとは
開封した後に保管するポイントは、おもに「冷蔵する」「真空保存する」「ボトルを立てて保存する」の3点です。
ワインは、開封後も適切な温度で保存する必要があります。白ワインやロゼ、スパークリングワインは冷蔵庫、赤ワインは常温よりは冷たい暗所での保存が推奨されているのです。
また、ボトルの中に空気が残っていると、酸化が進行して風味が落ちてきます。
対策には、ワインセーバー、またはワインプリザーバーと呼ぼれる専用の真空ポンプが有効です。特殊なストッパーをボトルの口に差し込んで、空気を抜き取ることができます。
ボトルを立てて保存するのは、ワインの酸化を防ぐことに繋がります。一度開封されたボトルのコルクに、残ったワインが触れ続けると酸化を加速させる可能性があるのです。
このように、開封後のボトルの置き方は開封前とは違うので注意しましょう。
保管におけるよくある誤解と真実とは
保管に関して誤解しやすいとされているのは、おもに「すべてのワインは長期に熟成したほうが美味しくなる」「冷蔵庫で保管しなければならない」「立てて保存する」「どんな温度でも大丈夫」の4点です。
確かに、高品質なワインは長期に熟成すると風味が増して美味しくなります。しかし、多くのワインは製造から数年以内に飲むのが最適です。
とくに、安価なワインは早く飲むことを前提に作られているので、「すべてのワインは長期に熟成したほうが美味しくなる」は、明らかに誤解といえます。
保管については冷暗所が最適であり、必ずしも冷蔵庫が必要ではありません。それに、家庭用の冷蔵庫は保管するには温度が低すぎ、コンプレッサーによる振動も問題です。
そのため、「冷蔵庫で保管しなければならない」も誤解といえます。
開封後のワインは立てての保存が推奨されますが、開封前は横置きが一般的です。つまり、開封前のワインに対しては、「立てて保存する」は誤解といえます。
また、ワインは非常に温度に敏感なため、適切な温度に保つことが必要です。「どんな温度でも大丈夫」というのは大きな誤解といえます。
専門家のアドバイスと実際に実験した結果を紹介
ここでは、ワイン保管に関してよくある質問に対しての専門家からのアドバイスや、保管に関して気になったことを実際に実験してみた人の結果を紹介していきます。
保管に関する専門家のアドバイスを紹介
名古屋にある自然派ワインで有名なお店で働く専門家へ、「ワインはちゃんとしたワインセラーで保管しなきゃいけないの?」という質問がありました。
この問いに対し、専門家の方は「なくても大丈夫」と明確に答えています。そして、アドバイスとして、直接日光の当たらない冷暗所か冷蔵庫に保管することを勧めているのです。
冷蔵庫の場合は、直接冷気が当たらない場所、たとえば野菜室などでの保管を推奨しています。また、長期熟成が必要な高級なワインに対しては、やはりワインセラーでの保管がベストとの答えです。
そのために、有料ワインセラーのサービスの利用をアドバイスしています。
このアドバイスにあるように、可能なら有料のサービスを利用して保管するのもよいでしょう。
保管で気になったことを実際に実験してみた結果を紹介
あるワイン通販会社では、「冷蔵庫保管が本当にワインを劣化させるのか」をテーマに、実際に実験をしています。
実験に使用したワインは、泡、白、繊細な赤2種、ミディアム赤、しっかり赤2種の合計7種類です。それぞれの種類ごとに、通常のワインセラーで保管した場合と1週間冷蔵庫で保管した場合、そして3カ月間冷蔵庫で保管した場合の3通りの方法で実験しています。
実験の結果は、1週間と3カ月の冷蔵庫保管では、目立った「劣化」は感じなかったが「変化」は感じたとされています。
「果実味」と「香り」に大きな変化が出ていたようです。とくに、泡、白、赤の全タイプに関して、保管期間に比例して変化が大きくなっていました。
実験の総括として、長期間にわたって風味を損なわずに保管したいならワインセラーの利用が推奨されますが、短期間なら冷蔵庫も利用可とのことです。
ただし、保管期間が長くなると、明らかに風味が変化してくるので、冷蔵庫で長期に保管するのは控えるべきと結論を出しています。
保管環境によって品質が変化する?ワインの味わいの変化
ある有名ワインメーカーが、保管環境によってワインの品質、味わいがどのように変化するかを実際に試していますので、ここではその変化について紹介します。また、保管に関するよくあるQ&Aも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
保管環境による品質や味わいの変化を紹介(赤ワインの場合)
実際に実験に使用されたのは、味わいに違いのある4種類の赤ワインです。それぞれのワインを「8℃での冷蔵」「日陰の常温」「直射日光が当たる常温」の状況下で、7月中旬から10月下旬までの約3カ月半の間、観察しています。
結論をいうと、冷蔵で保存したものは、どれも美味しく飲めたとのことです。しかし、直射日光が当たっていたものはもちろん、日陰で保存したものも、かなり味わいが落ちていたとの結果でした。
総括として、夏場はとくに冷蔵保管がおすすめと書かれています。
ワイン保管に関するよくあるQ&A
ここでは、あるワイン専門店に寄せられていたワイン保管に関する質問とその回答4つを、ダイジェストで紹介します。
Q:ワインの保存方法を教えて
A:保存に最適な温度は14℃前後で湿度は70%以上です。ワインセラーがないのなら、温度変化と振動の少ない冷暗所を推奨します。においが発生するような場所も避けましょう。また、コルクの乾燥を防ぐために横に寝かせてください。配送するならクール便の利用がおすすめです。
Q:ワインはどんな場合に劣化する?
A:ワインは、空気に触れると劣化しやすい性質を持っています。適切な湿度のある場所で、ボトルを寝かせて保存しましょう。また、コルクそのものの品質が悪いために起こる劣化を「ブショネ」とよび、カビ臭さや雑巾のようなにおいを発します。
Q:ワインは寝かせたほうが美味しくなる?
A:長期熟成に向くような、バローロやブルネッロ、ディ・モンタルチーノなどは別として、ほとんどのワインはすぐに飲んで美味しくいただけると考えて問題ありません。大部分の白ロゼや一部の赤ワインは出荷後2~3年以内に飲むことが前提で作られています。
Q:微発泡ワインの保存について知りたい
A:温度変化によってボトル内の気圧が上がり、コルクが飛び出すことがあるため、暖房の効いた部屋や温度変化の大きい環境での保存は避けてください。
まとめ
ワインの保管に関しては、さまざまな誤解や勘違いがあり、間違って覚えていた人もいるでしょう。ワインを正しく保管するためには、「温度」「光」「湿度」「振動」の4つが非常に大切でした。
今回は、ワインの保管に関する情報を、可能な限り網羅して詳しく紹介しています。正しい保管方法を知って品質の劣化を可能な限りおさえ、ワインを美味しく味わいましょう。
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