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化粧品の起源

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化粧品にはさまざまな種類があるが、その基本的な理念は、『肌や髪を美しくすること』。 特に女性たちのそうした願いには、なかなか切実な物があり、古今東西変わらない。 化粧品にはとても長い歴史がある。 化粧品は、もともとは宗教的・呪術的な意味合いがあったもので、 5万年ほど前から世界各地で化粧に類することが行われていたと言われている。 約5000年前、古代エジプト時代になると、現代のような身を飾る意味合いの強い化粧品が出現した。 この頃の記録によれば、全身に塗る香油や、爪や唇に塗る染料、 まぶたに塗るアイシャドウといったものがあった。

石鹸にしても、紀元前3000年代のメソポタミアの粘土板に、その製法が残されている。 化粧品はその後、ギリシアやローマを経て、漢代の中国にもたらされた。 化粧品が 中国から日本に伝わったのは、奈良時代の事。 その後化粧という習慣は廃れることなく、化粧品も形を変えながら、現代に受け継がれている。

日本では6世紀後半の飛鳥時代から 始まったと言われている化粧品

美しくなるために、顔や体に何かを塗るという行動は、日本では6世紀後半の飛鳥時代から 始まったと言われている。 中国大陸から口紅やおしろい、香が輸入され、貴族社会に広まったとされている。 日本では古くから成人の証として歯を黒く染める「お歯黒」の習慣があったが、 本格的に習慣化したのは平安時代の事にとる。 成人、既婚女性の象徴として行われていたが、この頃は小さな口元が美しいとされていて、 歯の存在を消すことで口元を小さく見せる美容効果も期待されていた。 白い歯が美しいとされる現代では、考えられないようなメイク。

口紅には紅花の色素が使われていた。 世界では主に宗教的な儀式の中で、約5万年前から皮膚を天然色素で染めるというようなことは 行われていたとされているが、美しくなるために化粧という文化が登場したのは紀元前4000年頃とされている。 古代エジプトには、マラカイトやラピスラズリなどの鉱石を粉末にした天然色素でアイシャドーを施す事が行われていた。

これには病気を運ぶ虫を追い払う効果も。 砂漠地帯では黄色いクレイを肌に塗って日焼けを防いだり、天然精油を使った香油を塗って 硬くなった皮膚を柔らかくするなどケアも始まっていた。 アフリカでは、強い紫外線や乾燥から肌を守るために、伝統的にシアバターが使われてきた。 モロッコのサハラ砂漠のベルベル人たちも、肌の乾燥や紫外線から身を守る為に 古来よりアルガンツリーのオイルを全身に使用してきた。

植物を使ったケアに関しては、古くは5000年前のエジプトの書に、 既にフランキンセンスやミルラハーブの利用について記されている。 ヨーロッパでも古くから病気の治療薬としてハーブが栽培され、 紀元前460年に生まれた古代ギリシャの医師、ヒポクラテスもハー ブの処方を400種類以上書き残している。

日本で合成界面活性剤を使用した鉱物油のクリームや合成シャンプー、 合成洗剤が使われるようになったのは戦後の事。 歴史は僅か約70年程。そして精製度の甘かった鉱物油が原因で、 皮膚が黒くなる「黒皮症」になる方が出てきたり、合成洗剤による酷い手あれなども問題になった。 化粧品の成分でアレルギーになる方が増えた為、1980年にはアレルギーを誘発する可能性がある 103種類の成分を国は「表示指定成分」と定めた。 2001年からは、規制緩和により全成分表示になり、表示指定成分の制度は廃止された。 そのかわり、肌荒れを起こすかもしれない成分もそうでない成分も、全部同じよう に表示される事になり、 企業と化粧品を選ぶ消費者自身に責任を持たせる制度へと変わっていった。 それ以降も、新しく生み出される化学物質は、全成分の中に埋もれて増え続けている。 石油由来の化学合成成分は、いくら短期の実験で問題がなかったとしても、 歴史が浅い新しい化学物質という側面がある。

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