現在、資産として持つ方も多い金貨。国内で昔生産されていたものも価値が高いです。今回は国内金貨の歴史について解説していきます。
大判金貨
1588年、豊臣秀吉によって規格化された金貨がはじまりです。後藤四郎兵衛が製造を行い、これ以降は権力者の命令によって後藤家が製造を独占。大判は、特権身分の公私儀礼や大規模な取引の際に使う目的で製造されました。
質量は京目10両(44匁、約165g)で統一されています。
大判の種類
1.天正大判金
安土桃山時代から江戸時代初期にかけて生産された金貨です。 天正菱大判、天正長大判、大仏大判の3種類があり、合わせて15万枚ほど鋳造されました。
長大判
サイズが一回り大きく、17㎝を超えます。
大仏大判
大仏の建立費用に充てるために作られた金貨なので、「大仏大判」と言われています。 1608年~1612年にかけて鋳造されました。
天正大判の通用は1695年に終了し、慶長大判へと移ります。
2.慶長大判
慶長6年から鋳造された大判で、徳川家康による天下統一を象徴する貨幣として知られています。
こちらも通貨としての使用がメインではなく、恩赦や褒賞のために使われたのです。
3.元禄大判
元禄8年(1695年)に鋳造された金貨です。形状は角ばった楕円形で裏面には「元」の年代印が押されています。 鋳造枚数は約3万枚で、1725年11月末まで通用されました。
4.享保大判
享保10年(1725年)6月に鋳造されました。初期の大判には墨書があり、これがあるものはとても希少です。鋳造枚数は8515枚ですが、大判として発行されたのは8500枚です。 1860年5月をもって通用が終了しました。
5.天保大判
天保9年(1838年)より発行された大判。上下左右に打たれた極印の形で享保大判と区別されます。鋳造枚数は1115枚で、通用期間は1860年4月10日まで。享保大判と並んで流通しました。
6.万延大判
万延元年(1860年)から流通が開始された大判です。「新大判」とも呼ばれる日本最後の大判として知られています。 これまでの大判とは異なり、貨幣としての役割も担っていたのです。明治7年まで流通しました。
本位金貨
金本位制が施行されている貨幣制度下において本位貨幣として鋳造、流通した金貨のことを本位金貨と呼びます。 法令で定められた金平価に相当する金が含まれているのが特徴。額面金額と実質金額に差はありません。 イギリスのソブリン金貨やフランスのナポレオン金貨が有名です。 戦争や不況の影響で金本位制は崩れ、貨幣としての金貨の歴史は終焉を迎えました。
記念硬貨
1964年の東京オリンピックを記念した1000円、100円銀貨が一番最初の記念硬貨です。 2021年3月末時点では、延べ215種が発行されており、最高額面は10万円です。
金貨発行までの歴史
貨幣としての金貨の歴史は明治時代に遡ります。 幕末における金貨の質低下が、金貨を政府で鋳造することに繋がりました。 多種多様な金貨の改鋳が多発し、額面通りの価値で取引されることは少なくなりました。 偽造通貨も数多く発行され、貨幣状況は混乱を極めました。
そんななかで、明治政府は国際的に信用できる貨幣の鋳造を迫られていたのです。同時期には外国人大使から、本位貨幣を自由に鋳造できる造幣局の設置を強く要望されていました。 明治政府は英国人技師を招き、造幣局設立へ注力します。香港やイギリスから鋳造機を購入し、明治3年から銀貨を、翌年からは金貨の鋳造を開始しました。
当初、硬貨のデザインはイギリスに任せる予定でした。しかし、彫金師加納夏雄のデザインと彫刻が認められ、こちらを採用するようになりました。 表面には龍図が、裏面には十六弁八重表菊紋(菊花紋)と五七桐花門が描かれています。 天皇の肖像画を刻む案もありましたが、不敬にあたるとのことで却下されたそうです。
明治2年には1ドル金貨とほぼ同じ価値の1円金貨を発行。2年後の明治4年には1,2,5、10,20円金貨が発行されました。
同時期に制定された新貨条例で、金平価が1g=1.5gと定められました。
しかし、金貨の時代は終わりを迎えます。戦争で金が国外に流出するのを防ぐため、金の輸出を停止する国が増えました。日本はその流れに遅れたため、多くの金貨が国外に流出したのです。 第二次大戦後は、ジャマイカで行われた国際通貨基金暫定委員会で、金本位制の停止が決定されました。 その後日本は管理通貨制度を採用し、現在へと至ります。
まとめ
金貨は現在通貨としては流通していませんが、明治時代から戦後までは使用されていました。 江戸時代には、大判や小判というかたちで存在し、取引の場面で使われてきたのです。 現在は、記念硬貨という形で金貨は発行されています。今後も私たちの生活に、金貨は寄り添うことでしょう。
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